ヒアリング

ヒアリング

 今日も仕事である。何か問題でも? そう、問題が起きた。

 昨日は終日立っていたとはいえ、曇り空の上、いい風も吹いていたので疲労感はほとんどない。天気予報では、今日は炎天下のようだ。

 朝食は、昨晩の残りで済ます。昼食のおにぎりは作る。今日は梅干しと海苔にした。

 ラッシュに遭うのがいやなので、7時過ぎに家を出る。もちろん、早く着きすぎる。その場合は、サードオフィス(車中)で本を読むことにしている。車を日陰に停めて、窓を全開すればいい感じになる。

 配置表を確認したら今日も駐車場整理になっている。顔どころか露出部分には日焼け止めをたっぷり塗って来た。

 平日にもかかわらず7時過ぎから行列である。いつものように車を捌いていると、人事部長がやって来て、昨日はいつ昼食を食べたかとヒアリングを受ける。まあ、交代が来なかったので食べられなかったと応えた。この職場は、午前中でタイムカードを押し、午後もタイムカードを押す。すなわち、昼食時間は賃金に反映されない。昨日の自分のタイムカードには、2回しか打刻がなかったのでヒアリングに来たらしい。

 しばらくすると、人事の方もやってきて、1時間ほど昼食を食べたのだろうと、誘導尋問のような言い方をするので、先程と同じく応えた。

 また、しばらくすると、若い人事の担当者がやって来て、駐車場整理は何時までやっているのかとヒアリングを受けたので、指示があるまでと無難に応える。

 今日は平日なので、休日ほどの人出はなかった。炎天下は、周りの人は酷そうに映るらしく、凍ったゼリーなどを差し入れてくれるものの、自分としては、そうでもない。夏山の雰囲気を味わっていた。

 昼食時刻を少し過ぎた頃に、人事の方が来られて、代わりを寄越すので昼食を食べて少し休んでまた職に就いて欲しいとのこと。タイムカードは押しますねと念を押すと、押さなくてもいいという。昼食時間も賃金を払うというではないか。(チャリン)

 直接は聞いて無いが、自分が昨日、昼食抜きで仕事をしたことが問題になったらしい。その見返りという感じであった。

 今日もわがままな老人オンパレードであった。ひどいのだけを揚げる。

 満車だというのに構内の途中で止まっている老婆がいた。駈け寄って聞くと、足が悪いので近くの駐車場所にして欲しいとのこと。それで、誰かが動くまで1時間以上も車の中で待つようだ。こうすると、詰まってしまいパニックになる。止むを得ず。Uターン用に空けてあった場所へ誘導した。

 次に、品のいいジジイである。荷物が重くて車までは運べないので、近くまで持ってきたいので開けて欲しい。そんなのは無理である。停められただけでも幸いと思って欲しい。しかし、たまたま空いた場所に立ってここに入れるので確保して欲しいという。その分、自分の作業は出来なくなる。無理矢理にそう主張して車を取りに行ってしまった。仕方がないので立っていたら、販売の大学生が代車に乗せて運んで来た。なら、最初の場所でも良かったろうが。

 だいたい、わがままな人の車は、外車とか大型車と相場が決まっている。そんなに偉いのか!

 昼も遅くなって、別の人事の方が来られて、15時から駐車場整理要員を2人に減らすと言われたので、なら、私が抜けますと応えたところ、あんたには残ってもらいたいという。(チャリン)まあ、悪い気はしなかったが、この時間帯はやることがなく、日陰で座っていたね。一般的はサボタージュと言われるが、皆、休まれ休まれと励ましてくれた。

 平日とあって、老人が多かった。全員老人と言った方が正確だろう。もう、見るのも無残で杖を突いたり、足を引きづったりしながら歩いている。自家用車生活という便利さの得た代わりに、自由に歩くという健康的な生活を失った人たちである。まあ、このことは昔から多くの方が主張している。寿命の一番短いのは運送ドライバーというのは昔から言われていることでもある。

 自家用車で歩行機能が退化し、テレビで思考機能が退化し、ワープロで漢字を忘れ、スマホで住所や電話番号を忘れ、ナビで道を忘れる。こういうのを進化というのかね。自分は退化だと考えている。退化の先には絶滅が待っているというのが歴史の事実ではないだろうか。

■「ボロボロになった人へ」(リリー・フランキー著、幻冬舎、2003年)を読む。

「私は求められたい。必要とされたい。」

「完全に筋力を失った家。」

「どれだけ美しく、善良に生きたところで、やっぱり人間はいつか死ぬ。」

「死刑の決まった人間、つまり死刑囚は皆、没個性だ。」

「誇りを持って死を迎えることの方が、誇りなく生き長らえることより、ずっと価値のある人生だと思う。」

「傷を受けた者の心は一生癒されることはない。」

「人生とは、自分の死を彩る為、いまわの際に、ああ、いい生涯だったと思える装飾品のような思い出、物品、それに囲まれる為、過ごす作業なのだ。」

「唐突に、瞬間的に、すべてがどうでもよくなる時がある。」

「新しい自分になる為には、捨てる勇気を持たなければならない。積み重ねじゃない。」

「携帯の電源を切って、不燃物のゴミ箱に放り込んだ。」

「~完全に終わっている人間の顔だ。」

「会社なんかいつ潰れるかわかんないじゃんなぁ」