脂肪

■「一茶」(藤沢周平著、文春文庫、2012年)を読む。
 一茶の幼少のころから65歳で亡くなるまでを年代順に書き連ねている。脚色はあろうが巻末の参考資料が物語るようにほぼ史実に基づいて書かれていると思う。
 自分が知っている一茶の句は『やせがえる負けるな一茶ここにあり』だけであった。この本の中には沢山の作句が出てくるがこの句はなかった。なかったと言えば小林一茶の小林の姓もでてこなかった。
 面白いのは、昔は俳句師で食っていけたのである。会を催して点数を付けたりして、寄付のような草鞋銭を得るのである。50歳のころ28歳の女性と結婚したり、飛んでるおっさんであった。しかし、生まれてくる3人の子供を次々と亡くしその非情な境遇に心を動かされた。
 一茶の句は自分の感性に合うと思っていたが、所謂貧乏句というのが多い理由が分かった。

■脂肪
 6月1日から夏服になった。衣替えである。その結果、私のお腹の脂肪が強調されることになる。すれ違う社員の目はまず、お腹に行く。これなら許せる。たまに、直接触る奴もいる。女性社員もなぜる、かつつく。その後に言う言葉が決まっている。「この中に何が詰まっているの?」白々しい、脂肪に決まっているではないか。今日もそういうセクハラを受けてしまったので、霜降りのいい油が詰まっていると、冗談でかわしたが、赤身はないとひんしゅくであった。いつものことである。来年までは、腹が割れるまでになるぞ!と言ったら、「絶対無理!」と言われてしまった。着火してしまった。お腹を引っ込ますなんて1年もあれば可能だろう。今年の登山は幾分きつそうになる気配を感じた。