40歳定年

■「ふくろう」(梶よう子著、講談社、2012年)を読む。
 「不苦労」とも言われ縁起がいいらしい。時代小説はあまり読まない方だが面白かった。見知らぬ人から顔を見るなり「許せ!」と言われたことから、自分の出生の秘密に到る。今の時代にも通用するようなコンセプトであった。

■40歳定年
 何回も論議を呼んでいるので抜粋する。
 政府の国家戦略会議が2012年7月上旬に提言した「40歳定年制」については、新聞記事などで取り上げられ、話題になりました。転職を複数回することが普通になるような社会を目指しながら、労働者への支援も用意するというのがこの提言の趣旨でした。今後、40歳定年制がどれだけ現実味を帯びるのかは分かりませんが、既に多くの会社では中高年の収入を抑えたり、役職者を減らしたりする動きが本格化しています。右肩上がりの収入は見込めない今、どのようにして家計を守っていくべきなのでしょうか。今回は、中高年の収入を取り巻く現状と将来展望につい
て解説します。
 2012年7月、国家戦略会議フロンティア部会が2050年を見据えて描いた構想で、「40歳定年制」もあり得ると提言、波紋を呼んでいる。部会の座長を務めた東京大学柳川範之教授は「75歳まで皆が働ける社会にするには、雇用の流動化を促す必要がある。40歳定年を学び直しの機会とすれば、力を発揮し切れていない人材がアクティブになるのでは」と語る。
 ある経営者はこれに賛同。「年金支給が始まる65歳まで継続雇用が義務付けられる見通しだが、中高年社員をこれ以上抱え切れない。生涯一社という時代ではない」。
 一方、雇用問題の専門家らは冷ややかに受け止めた。「定年とは年齢による一律解雇、あり得ない」と労働政策研究・研修機構の統括研究員、濱口桂一郎さんは言う。その上で「中高年の人件費負担は重い。年功型賃金の契約をリセットして、働き相応の給料まで引き下げたいというのが経営者の本音だろう」と背景には年功型賃金の問題があると指摘する。
 実際にバブル崩壊後、中高年の賃金は下がり続けている。厚生労働省の2010年「労働白書」によると、1990年は20代前半から50代前半にかけて給料は3倍強まで上昇したが、2008年になると2.5倍ほどにとどまる。