バーンアウト

■「さあ、地獄へ堕ちよう」(菅原和也著、角川書店、2012年)を読む。
 ミステリーでホラーっぽい話。これまで、敬遠していた分野であった。これは、すごかった。SMや殺人サイトなどの話である。馬鹿っぽく振舞っていた少女が人を殺してしまうことがショッキングであった。タイトルはサイトの名前である。娯楽には違いないだろう。読むのを止めようとも思ったが、最後までしっかり読んでしまった。

バーンアウト
 日経ビジネスからの抜粋である。
バーンアウトの明確な定義を示す取り組みが始まり、フロインデンバーガーの「持続的な職務上のストレスに起因する衰弱状態により、意欲喪失と情緒荒廃、疾病に対する抵抗力の低下、対人関係の親密さ減弱、人生に対する慢性的不満と悲観、職務上能率低下と職務怠慢をもたらす症候群」という定義もさらに精査され、その状態を測定できるモノサシが世界中で使われている。
「長時間にわたって人に援助する過程で、心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を示す症候群」
うつ病燃え尽き症候群は違う――。このことに気づくことは極めて重要である。
 ウツもバーンアウトも、どちらもストレスが原因で起こるストレス症状であるのだが、そこに至るまでのプロセスと、発症後の対処策が全く異なる。
 ウツが自分の置かれた状況や、遭遇した困難にうまく対処できずに疲弊することが主たる原因となって陥る状態であるのに対し、バーンアウトはいわば過剰適応。
 高い目標設定を成し遂げようと踏ん張り、いかなる試練にも真っ向勝負で立ち向かい、ひたむきに頑張り続けた結果、そのエナジーを使い果す。
 つまり、燃え尽きる、という言葉通り、正真正銘、ホントに燃え尽きた結果なのだ。
有能な人ほど、仕事のできる人ほど、仕事が好きな人ほど、企業を引っ張る力を持った人ほど、悪循環に陥り、取り返しのつかない状態になってしまう危険性をはらんでいるのである。バーンアウトは、心と身体を休めただけでどうにかなるという症状ではないのである。
何かと高い目標を突きつけられ、数字ばかりで評価される現代社会。モチベーションの高い、有能な社員ばかりに責任ある仕事が任される傾向にある状況では、意欲ある人ほどバーンアウトに陥るリスクも高まっている。