ベテラン活用

■「無病法」(ルイジ・コルナロ著、PHP、2012年)を読む。
 本は借りて読んでいるが、この本は買って手元に置いておきたくなった。副題は「極少食の威力」とある。そう言われて見ればお坊さんは少食で長生きのイメージがある。最近、断食が流行っている。この本の結論は、現代人は食べ過ぎでいろいろな病気を発生させているという。そう思えなくもない。「老年というものがこれほど素晴らしいものとは思わなかった」とし、102歳まで生きた。死ぬまで、いや生きることを辞めるまでどこも悪いところがなかったというのだから驚きだ。貝原益軒の言葉も引用してある。例の養生訓である。「飽食はいかなるものでも病気の原因になり、死期を早める」「口に合うものは体にも合い、体に合うものは口に合う」「長寿を欲するものは、少食に徹せよ」「健康・長寿の方法としては唯一、飲食を最小限にして規則正しく生きる以外にない」
 少食のみでなく歩くことも提唱している。
「真に優れた思想はすべて歩くことから生まれている」「考えがはっきりした形をとるのは、歩いているときである」「夜の散歩ほどよいアイディアをもたらすものはない」「歩きが解決する」「ウォーキングが最良も運動である」「要するに、歩け!歩いて健康と幸福を手に入れよ。私の場合、もの速足で歩くことができないとしたら、おそらくすぐにも廃人になるだろう」「一日に少なくとも4時間歩くことが無ければ、私は心身を保てないだろう」
 「健康、不健康は、血液の状態と体液の質とに関係している」
 「最少食、一口ごとに最低120回は噛む、食事の回数は日に二回まで(朝食は不可)で快癒する」
 最後に参考文献が一覧になっていたので、コピーして読んでおきたい。

■社内に伝わったベテラン活用の真意
 日経ビジネスからの抜粋である。
「実際、ある日本の企業では、ベテラン社員たちを現場力に生かそうとしている。
 ある大手製造業では、50代を超えた社員たちが、若い時にはヒエラルキーを登ることで通り過ぎてきた現場に戻るチャンスを作り、彼らならではの視点を生かして現場力を高めようとしている。
 最初はほとんどのベテランの社員たちが、「それは若い社員の仕事だから」と、会社の動きに反対したそうだ。
 しかし、会社の意図、すなわち「年配社員たちに若い人にはできない仕事をしてほしい。そこで必要な人材になってほしい」と伝える一方で、受け入れる側の現場にも、「彼らがやったことのない仕事を教えるのはキミたちの仕事。でも、彼らの仕事の仕方、仕事への取り組み方、考え方、周りとのコミュニケーションの取り方などは徹底的に教わり、時には盗むくらいの気持ちでいてほしい」と求めた。
 結果的に、社内に会社の意図が伝わり、ベテラン社員たちがそれまでのゼネラリストではなく、スペシャリストを目指すようになった。かれこれ、2年ほどの月日がかかってのことだった。
 「クレームって、1つのことで起きるのではなく、いくつかのホントに些細なことの積み重ねで起きることの方が多い。ちょっとした現場社員の動きだったり、表情だったり。様々な価値観を持った人が増えて、どんな仕事にもサービス的側面が増えている時代だからこそ、ベテラン社員の知恵で現場力を高めていく必要があるんです」
 この会社のトップの方はそう話してくれた。
 肉体的な機能は20代をピークに衰えていくが、知力、知能などの精神的機能は年齢とともに緩やかながらも上昇する。人生経験というお金では買えないベテランならではの“力”、そしてマニュアルには書き込むことの難しい彼らの知見を最大限に生かす。」