使い捨て社会

■「夢の時間」(森田芳光著、角川書店、2012年)を読む。
 先ごろ亡くなられた映画監督である。何作品か観ていると思う。
「ともかく一本の映画を世に出そう、それが自分の履歴書何だ〜」
「うまく行ったときこそ恐ろしく、しくじっている時こそ奇妙な光明がある」
「ギャンブルというのは、精神の浄化作用〜自分の精神を鼓舞し、精神に活力を与える」
「この約束まで百日と決めて、達成する日までを自らコントロールし、日々を過ごす」

■使い捨て社会
日経ビジネスからの抜粋である。
「いつ切られるか分からない雇用形態。真っ先に切られる不利な立場。そんな状況に置かれれば、たとえ最低限の労力を使ってでしか働かなくても、誰が責めることなどできるだろうか。
 つい先日も、讃岐うどんのチェーン店「丸亀製麺」を運営するトリドールが、すべての店舗の店長をパートにする方針を示し、ネット上で「いつ切られるか分からない不安定な状態で、まともにやる人はいない」などの意見が出ていた。
 もっとも、安定した雇用って、そもそも一体どのようなものだろう? 確かに正社員と非正規社員を比べれば、正社員の方が安定しているのかもしれない。でも、たとえ正社員であっても、「明日は我が身」と不安を感じている人たちはたくさんいるし、かつてのような安定した身分ではない。
「どんなに景気が良くなっても、正社員を増やす予定はない」と断言する経営者の人たちもいる。
 生活への期待、自分への期待が低下すればするほど、世の中を冷ややかに見るようになり、いかなる政策もネガティブにしか受け止められない。前に進もうとか、もっとスキルを磨こうという気持ちも失せていく。
 自らに課せられた仕事を遂行し、同僚や上司と良好な人間関係を築き、組織の規範を受け入れ、組織の一員としてふさわしい属性を身につける。個人は組織と一体化する中で、自分の居場所や仕事を見つけ、それを組織の力として生かそうと、積極的にスキルを身につけたり、周りと協働する姿勢を高めたりしていく。
 一体化に成功した人は、離職や転職を考える可能性も低下し、組織のメンバーの1人として働くようになる。
 人間の脳には絶えず未来を予知する力があり、人間は本能的に未来への行動計画を想像し、作り上げ、それは前頭葉に記憶されていく。で、その未来への記憶に合致する行動を意味あるモノとして受け止め、積極的に取り組んだり、努力したりする。未来と現在の間を行き来しながら、自分の行動を最適化するのだという。 」