社員が幸せな会社

■創作

◎やわらかな春の光に包まれて 夢の蕾も膨らみにける     禅智

 早春の代表と思えるような天気である。6時半過ぎに家を出る。もう太陽が山の上にあってやさしい光を浴びせている。日差しが当っている場所では、光に包まれているような気さえする穏やかな朝だ。
 ふと街路樹や庭木に目をやれば、蕾もずいぶんと膨らんで開花の準備をしているようだ。自分の夢はなんだったかな、もう夢を見る歳でもないかと失笑する。
こんな自分でも人なりに若かりし頃はたくさんの夢があったと思うが、はて?どんな夢だったかまでは思いだせない。きっと、そのころは、期待に夢を膨らませながら活動していたのだろう。
 先ごろ夢ではないが、死ぬまでのしたい10のリストを作った。まったく、無謀であり笑止千万である。夢と無謀は違うと思うのだが・・・。

■社員が幸せな会社
日経ビジネスからの抜粋である。
「社員は全員が正社員。定年は70歳。年間の休日数が140日で、年末年始は20連休――。電気設備資材などを製造する未来工業(岐阜県輪之内町)は、「日本一、社員が幸せな会社」としてよく知られている。
 中長期的に見れば住宅着工件数は減少していくのが確実です。設備投資をしたり、社員を増やしたりといったことはできません。太陽光パネルが落ち着けば、この状況は収束します。とにかく今は社員に頑張ってもらい、お客様の要望に応えているところです。
本社工場も忙しくて残業をお願いしているんですが、60代の社員なんかは「私たちはもうおカネはいいの。早くうちに帰らせて」と言っています。60代ともなると、体力も落ちるでしょうし、早く帰って孫と話をしたいというのもあるでしょう。
 休みを短くした方が営業は楽になるでしょうね。お客様に「長期間休みを取ってすみません」と、頭を下げなくて済むようになりますから。
 でも、うちの場合、なぜか休みが長い方が売り上げが伸びるんですよ。なぜだかはっきりとは分かりませんが…。「
一つ想像するに、休みが長いと勤務中はより頑張らないといけないと考え、労働密度が高くなるのではないでしょうか。家族と過ごす時間を多く取れる分、プライベートが充実して、仕事にも好影響を与えると考えられます。
 休みをきちんと取る、残業をゼロにしようと考えると、社員自身も仕事の効率を図ろうと知恵を絞り、工夫をすると思うんです。
 今は達成できていないのにこんな言い方をするのはおかしいかもしれませんが、「残業ゼロ」は目標です。これからもずっと言い続けていきます。そうしないと本当に形骸化してしまう。
 未来工業はなぜ、社員を幸せにすることを大事にするのか。それは社員に仕事をしてもらうためです。山田昭男が言っているように、「よその会社は社員を動物のように扱う。頑張ったらエサをあげる。うちは、社員は人間だから先に与えよう」ということ。
 今のように仕事が多くて大変な時に頑張ってもらうためにやってきたんです。ここを乗り切れなかったら会社の信用が下がり、今までと同じ待遇を社員に続けられなくなるかもしれません。社員もそれを分かっていて、「ここを乗り切ればもっと幸せになれる」と、休みを減らし、残業を増やしながらも頑張ってくれています。」