働かないオジサン

■創作

◎鳥誘う花も真似して鷹の爪   禅智

 通勤路の庭木の花の蕾が、鳥の爪の様になっている。蕾が小さい間は、外側をガクのような皮が覆っている。その姿は、先端が細くなり曲がっているので、獲物を捕まえたら逃さないような鳥の爪を連想させる。それも大型の鳥である。
 どんな花になるのだろうと毎日楽しみに見ていたが、中の蕾が膨らんで外側のガクのような皮を破り、紫色の花が顔を覗かせた。ちょうど雛鳥が卵の殻を破って生まれるような感じだ。花はシモクレンだった。まだ、完全に外側の皮が取れていない花もあり、先端だけ残っている。その様は、鷹の爪のようだ。
 花は花粉を飛ばしてもらわないといけないので、爪を真似して鳥を誘っているのか。でも枝が細かったので大きな鳥は停まれない。せいぜい雀ぐらいか。でも、夢は大きく羽ばたきたいものだ。

■働かないオジサン
東洋経済からの抜粋である。
「シュミットは、仕事一筋のまじめで平凡な男なのだが、定年後には大きな試練に見舞われる。退職後に会社に行くと、自分が作成した引き継ぎ書類がダンボール箱に入れられたままであることを知り、ショックを受ける。
 「定年後の20年の時間を自分で埋めるとすると大変だ」「人生が80年なら、残る人生で、もう1回勝負できるかもしれない」など、人生80年を意識している人が当たり前になってきた。ただ、80歳まで生きることはイメージしていても、その間をどう暮らすかまでは、具体的に考えが及ばない人が多いように思える。平均寿命の伸びがあまりにも急激だったので、意識や生活がそれに追いついていないのだろう。
平日の図書館では、定年を迎えたとおぼしき数人の決まった顔ぶれのオジサンが、新聞を読むために朝の開館を待っているという話を聞いた。
 働かないオジサンは、会社の仕事に対する意味を失っているので、社会と間接的にもつながっていない。切れているといっていいだろう。
 働かないオジサンの定年退職後の行く末は、厳しくなる
働かないオジサンになると、直接にも間接にも社会とつながっていないので、より厳しい状況だと認識しておくべきだろう。
人とつながるためには、自分で何かをやらなければならないという、厳しいメッセージも込められている。世の中が求めていることの中から、自分が取り組む何かを見つけることが、生涯現役には必要なのである。」