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 天気予報では大雪警報であるが、午前中の市内はさほどでもないとタカをくくっていたら、午後からも降りやまず除雪をしなければならない程の積雪になった。家人より除雪の指令が出たが、「ダヤイ!」と応じず。家人が除雪をやっている。
 早朝から朝錬に出かけた。好きな面白いことをするのに休日は無関係である。不要不急な用事である散歩も4kmほどこなす。帰宅後、自家用車で日用品を買い回り、カソリンと灯油も購入し、昼寝に徹する。
 造園業界に入れるかどうかを迷いながらここまで来た。途中何回か不向きと思われる場面があったが、何とかなるだろうとだましまだしここまで来たが、ここで結論を出さなければならない。
 まず、動機について整理しておきたい。
 定年後は気持ち(Kimochi)がいい環境で過ごしたかったので、自然が相手の仕事がいいのではと楽観していた。適度に体も動かし緊張もあるし、知識の習得も自然相手なので無限にある。これは自分に向いているのではないか。事実、一作業が終わり、薄らにじみ出る汗を拭きながら日陰で休んでいると実に気持ちがいい。至福の時間である。
 対象となるものは綺麗(Kirei)な公園や庭である。また、入校してから知ったことであるが、これまで縁がなかった茶道の世界も垣間見ることができる。教養(Kyouyou)も身に付いて知的満足度も上がる。
 しかし、この業界に求められているのは、視力がいいこと、体力があることである。まさに、人生の岐路(Kiro)に立たされているので、決断(Ketsudan)をしなければならない。これまでの体験より趣味の延長で対応することに決めた。
 いろいろ調べてみて分かったが、世の中には大企業と中小企業があるというが、もう一つ零細企業というのがあり、この業界の大半がここに含まれる。
 そして、高い木に登らなければならず、危ない機器を使用するなど危険(Kiken)な仕事である。死亡例も報じられるが、報道されない怪我などは無数にあろう。実習でも脚立から落ちて保険適用で治療した人もいる。作業負荷は、重量物を扱うことが多いし、そもそも道具その物が重くきわめてきつい(Kitsui)業種である。また、作業場は、犬猫の糞が転がっていたりどろなどを扱うので汚い(Kitanai)。正社員として働くという場合の賃金は11万円〜18万円/月と高校生並みと給料(Kyuryou)が安い。それならアルバイトはどうかと調べれば、770円/時と子供のバイトよりも低い。年間休日はどうか。85日ぐらいで、土曜日は出勤のところが多いく休日(Kyuujitu)が少ない。会社によっては、冬場には仕事がないので、従業員をいったん解雇して、翌春に雇うというところもある。職人集団なので朝から晩までこき使われ(Kokitsukawareru)ると見ていいだろう。
 そうなると、日々の生活は帰宅後夕飯と入浴後に眠るだけとなり、日曜日は痛い腰をいたわるように泥のように眠りこける生活になることが見えてくる。
 もう学校も終わるころにようやく踏ん切りが付いた。一応、造園の技術は身に付いたので、頼まれれば応援するという形で老後を過ごしていこうと決めた。
 エイジレス講座で最初から進行をされていた県の主任の方がおられた。40代半ばぐらいで柔道でもやっているかのように、恰幅のいい筋肉質の体つきと坊主頭で、受け答えも落ち着いており、頭がいいことが誰の目にも分かる。一番お世話になった主任さんであった。しかし、12月の修了式には出席されていなかったので、少し気になっていた。なんと、家人も同じ県の課と仕事上の関係があり、そこからの情報では、急性心筋梗塞で亡くなられたことを知った。(合掌)
 さて、次はどうするか。人生の第4コーナーに差し掛かり、今更経済活動に体を突っ込むほど幼稚ではないと自分では思っている。健康に動けるのも70歳位までであろう。自分は、老化加速機械と呼んでいるマイカーを50歳で放棄し、もっぱら徒歩による生活ができるので、もう少し長く動けると考えている。その間はしたいことをしながら、自分に与えられた生を全うしたい。