へたれ

■へたれ
 今月は訳があって神奈川県の平塚市に滞在している。この機会を最大限に活用しようといろいろ考えていた。その一つに、登山がある。南アルプスは手付かずなのでいくつか踏破したいと考えていた。平塚駅から拠点の甲府駅まで、2千円ちょっとしかかからない。
 しかし、乗り換えは茅ヶ崎、橋本、八王子、高尾と5路線乗り継ぎである。
 まずは、甲斐駒ヶ岳からだろうと計画をしていた。しかし、台風5号の影響なのか、広河原で道路がせき止められているという情報をつかんでいた。甲斐駒ケ岳の場合は、広河原の先の中沢峠が登山口になる。そのため、急場で鳳凰山をターゲットにした。いろいろ研究している暇がなく、ガイドブックの通り夜叉神(やしゃじん)登山口にしたが、2泊ないし3泊かかる。
 老後破綻イーシャンテン下流老人である自分に山小屋泊という選択肢はなく、テントを担いでの走破を試みた。70Lリュックに3日分の衣食住を詰め20kg弱と体脂肪約20kgを付けての登山である。
 甲府駅から登山バスが出てるが、1,420円と良心的であった。どこかの地方鉄道が3,000円以上も取っているのに比べればありがたかった。しかし、老朽化しており、社内で傘を差すハプニングもありで楽しかったね。

 しかし混んでいた。普通登山バスは林道をくねくね走るので立っては乗せないと考えていたが、途中の市営駐車場では、団体20組と個人8名が列を作って待っていた。当然通路に立たせてギュウギュウ詰めである。
 台風一過で、最高の天候であった。

 夜叉神峠登山口で降りたのは4人だけであった。通行止めは、今朝の始発前に復旧したとのこと。
 登山口である。

 夜叉神峠まで標高差約400m、コースタイム60分と出ている。登山道は良く整備されており、緩やかな勾配であった。あわよくば、先の南御室小屋までいけたらと考えながら歩く。
 しかし、汗がひどい、飲み物も多い。これは、過去に何度か経験した状態である。それでも、心臓の鼓動が聞こえない範囲で歩いては休みを繰り返す。自分としては、いつもの登り方である。
 夜叉神小屋に到着した。

 11時35分に登山口を出発しており、小屋到着は13時35分でちょうど2時間かかっている。これは、やめろ!と言われてるようなものである。
 しかし、夜叉神小屋でテント泊する方法もある。次の小屋までは4時間である。まあ、倍かかっても着けるだろう。テント泊を申し込むために、トイレと水場を聞いた。トイレは小屋横で有料である。水場はキャンプ地から往復50分の場所にあるという。小屋で販売もしているとのこと。
 ここで、諦めた。下山することにした。
 定年後は、時間にとらわれずにテント泊でゆっくりと山を歩けると思って高いテントを買ったのであるが、自分の今の実力ではテントを背負うとコースタイムの2倍かかるということが分かった。
 小屋泊まりでは出費が大きく、テント泊は出来ないということは、日帰りの山にしか登れないということである。ショックが大きすぎて、しばらく山を離れて見ようかな。