納会in結の小舎(来拝山、瀬戸蔵山)

■納会in結の小舎
 毎年11月の最終土日に芦峅寺の結の小舎で恒例の納会が行われる。一泊であるが、宴会前と翌日に近くの山を登ることになっている。
 最近の天気予報を聞いていると、今年は冬が早いとか、山沿いでは積雪があると報じている。自分の頭の中では、立山町の住宅街で積雪がないので、積もっても20cmほどだろうとタカをくくっていた。そのため、夏登山装備に長靴という装備であった。
 多い年で20人近くも集まった年もあるが、今年は6名のみの参加であった。

 予定では、初日は瀬戸蔵山であった。しかし、小舎からスキー場を見ていると、とんでもない積雪に見える。皆も同じ意見で、初日は来拝山になった。この山は、標高900mほどなので、積雪は少ないだろうという目論見であった。
 結の小舎の名物は、薪ストーブである。出発前にくさのさんよりコーヒーが振る舞われる。


 ところが、国立立山青少年の家へ向かう時に、職員の車が4台立ち往生している。今日はYUJIさんにピックアップしていただき、スノータイヤ交換済であるので、登山口までは行くことができた。予想より多い積雪に驚く。

 来拝山登山口も最初から積雪状態である。先頭はくさのさんで何と空荷である。しばらくすると除雪車が来て、車の位置を変更して欲しいというので、戻って移す。

 何とか落ち着いたので出発である。それにしても雪が多いなあ。ここで20cmほどなので山頂はどれだけだろうか?

 積雪は標高が上がるにつれて多くなる。この山は何度も来ているのでルートは頭に入っているが、積雪なのでくさのさんのラッセルに頼ることになる。
 まもなく、一枚岩の場所に着いた。ロープは雪の下である。懸命に取りついたが、長靴のため引っかかりが悪い。ついに滑ってしまった。瞬間的に藁をも掴む思いで、何かを掴んだが、サルトリイバラのつるであった。当然手を放す。私は、うつ伏せで万歳の姿でずり落ちたのであった。これは、滑落でも転落でもない。スリップである。しかし、直ぐに止まった。止まった理由は、あの醜い忌まわしい突き出た腹であった。これをハラセイドウと呼ぼうか。漢字で書けば腹制動になる。手の平に2cmほどの傷が出来て痛い。
 完全な冬山であった。

 冬山であるが、額からは玉の汗がしたたり落ち、目に入る。手はしもやけのようになってきた。汗対策用のハチマキもグローブもリュックに入っていなかった。
 ここまでくると、登山の姿勢に問題があると思う。山をなめている!
 私は最後に登頂し集合写真を撮る。

 五右衛門さんがカメラまんで入っていない。頂上の積雪は50cmはある。こんな積雪はこの時期では初めてではないだろうか。まさに、想定外の事態であった。
 下山後、温泉か昼飯かを検討したが、全員温泉となった。近くの温泉に行ったが、かけ湯の段階で、アジジ〜と身もだえしてしまった。湯船にもゆっくり入ったが、熱すぎる感覚であった。温泉の温度は変わらず、身体が冷えに冷えていたようだ。上がるころには、もう少し熱くてもいいかな、などと思う。

 小舎へ戻るが夕飯までの3時間以上もあるので、ビールや酒を飲みながら歓談する。なかさんが、レバーとシロの炒め物を作り皆に振る舞われた。

 もう少し時間があるので、来年一年の登山計画を作ろうということになった。1月から12月までである。剣岳槍ヶ岳鷲羽岳奥穂高岳も入り豪勢な計画になった。もっとも、計画は計画で実施前に詳細検討される。もちろん、干支の犬が岳も入った。メンバーには通知される。
 そして、宴会である。五右衛門さんは、沖縄出身のため沖縄流のすき焼きというメニューになった。もちろん、参加メンバーは初めてである。
 まず、肉だけを焼いて平等に食べることから始まるようだ。


 そして、野菜を大量に入れる。

 締めはウドンで充分お腹が膨れたので、歓談後寝る。

 毎回、私は火の番を自主的にしている。ストーブの前で眠り火が途切れないように薪をくべる。今回の薪は杭の廃材らしく、風化がひどく燃え尽きるのが早い。30分〜60分ごとに確認したいたが、やはり睡魔には勝てず眠ってしまったようだ。午前3時ごろ寒気で目が覚める。大変だ!ストーブが消えかかっている。直ぐに薪を入れたり、外から補充したりして何とか消えるのを防いだ。外へ出て空を見上げると柄を上に向けた北斗七星がきれいに見えた。
 朝になった。今日は天気がいいようだ。紅一点のユキさんに朝食を作っていただいた。トースト係りはYUJIさんで、コーヒーはくさのさんであった。




 朝食後、登山である。瀬戸蔵山であるが、ここは1,320mなので積雪の状態や登山道の様子が分からない。そこで、百輭滑まで進み、確認して次へ進むかどうか決めようということと、各自自己判断で続行、棄権を決めましょうとなった。
 まずは、小屋前での集合写真を撮る。


 登山道はしっかりトレースがあり、樹木のためか積雪は少ない。
 ナメコらしいキノコを五右衛門さんが見つける。

 続いて龍神の滝(たつがみのたき)まで進もうとなった。問題なし。

 続いて、大杉のところへ行きましょうとなったが、トレースは別なルートになっており、過ぎてしまった。
 ナカさんが、一番しんどい雰囲気の自分に確認する。私は、登頂を希望した。
 完全に冬山である。幸いトレースは踏んでもあまり沈まないので楽に歩ける。しかし、何回かスボッ!があった。
 ベンチの場所まで来た。ここで積雪を確認するとだいたい80cmはあるのではないだろうか。

 あと500mほどで頂上であるが、標高1000mぐらいから雪質が変わって来た。気温が低いためであろうが。一歩ごとに膝まで潜ってしまう。ラッセルしなければならない。指の感覚が無くなって来た。ここで、五右衛門さんから手袋の予備が支給された。
 トレースは前の方が歩いた跡である。しかし、自分が乗るとズボッと膝まで潜る。眠っていないのでめまいがする。ここで、棄権を判断する。1200mほどまで来ていたようだ。残り30分ぐらいで登頂できたかもしれない。しかし、下山の体力も残しておかなければならない。結局、YUJIさん、五右衛門さんも15分前に棄権され、ナカさんとくさのさんが頂上を踏んだ。
 私は、冬山装備ではないため、下山後も寒くて寒くて何か暖かい物でも食べましょうと提案した。
 肉うどんを注文したが、肉はラーメンに入れるチャーシューを2cm角に切ってあるだけで、がっかりのメニューであった。
 YUJIさんに自宅まで送っていただいて、帰宅後、直ぐに風呂に入る。
 瀬戸蔵山の敗因は、山をなめていたからである。この時期、ワカンぐらいは当然であると学んだ。