来拝山撤退

■来拝山撤退

 天気予報では大雪なので不要不急な外出はお控えくださいと報じていた。しかし、リタイヤ後の自分の生活は不要不急の外出で成り立っている。

 今日はくさのさんと来拝山登山の予定であった。朝、装備を準備するときに迷った。手袋である。冬山用の手袋を出しており、どうするか迷っていた。この手袋はインナーとアウターで構成されて荷物になる。まあ、12月は気温が高いしと思い、軍手にした。平たく言えば、ご近所へ散歩に行く出で立ちである。

 くさのさんにピックアップしていただいて、来拝山駐車場を目指すが、開いていなかった。そこで、少し遠いが青少年の家に駐車しここから歩くことになった。

 雪が酷い。視界は200mほどだろうか。傘を差して歩く。

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 まだ、降り始めなのでいわゆるパウダースノーである。しかし、アスファルトの上は凍結しており、何度もスリップする。登山口付近で尻もちを付いてしまい、傘をとろうとしているところである。

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 登山口からはトレースはない。

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 標識の状態で雪の深さが分かろうと思う。

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 少し入って長靴の上まで埋まる。ほ、ほ、本当に行くのか!と口から出た。一人の場合は撤退のケースである。長靴では不向きでスノーシューの出番である。

 しかし、くさのさんの軽快なラッセルはその不安を打ち消してくれた。

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 くさのさんのトレース通りに歩いているが、ズボッ!ズボッ!と沈む。このころから吹雪いてきた。

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 林道は長いね。

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 標識が埋もれているので手でどかしていただいた。読めないね。

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 ここからが本当の登山道である。急こう配が始まる。ここで1番であり、頂上は5番である。

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 自分は例によってだいぶ遅れてくさのさんに続く。2番の標識まで来た。

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 上からの撮影である。急こう配が分かる。

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 樹林帯なので積雪は少し少ないようであるが、傾斜は登れない。蟻地獄のように引っかかりがないので、登っては滑り、登っては滑りを繰り返す。

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 自分の身体に異変が起きた。吐気である。経験上、この状態では無理なのでスマホでくさんのさんに戻ることを伝える。直ぐにくさんのさんも合流し下山していたが、激しく嘔吐した。胃液しか出ない。しかし、吐くだけ吐けば楽になるのでそのまま下山する。しかし、足が動かない。平坦な場所で立ち止まる。頭では行こうと意識しているが物理的な足は、へなへなと腰砕けのような状態で動けない。そのうち、意識が薄くなってきた。これは、いつもよりもひどいぞ!後ろにくさのさんが居たので、口には出さなかったが、ダメかも知れないという予感があった。不自然ながら立ったままである。

 少し楽になったので足を出したら動いた。手は、軍手のため感覚はない。途中、滑って一回転してしまった。だましだまし足を前に出す。歩くという感じではなく。足を前に出すという感じである。

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 下山中、下から鈴の音がする。登っている青年であった。トレース使わしていただきましたと断った。こんな日に、山に登る奴がいるのかと驚いた。途中の、尖山でも8台駐車していた。皆、待ってましたということか。

 なんとか登山口に到着した。そして、青少年の家まで長い林道を歩く。

 手の感覚がない。ズボンはびしょぬれである。寒気もする。温泉まで急いていただく。湯船に入るとしびれたような感じで、一向に直らない。それでも、長い間お湯に浸していたら、元に戻った。

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 温泉後は、ランチである。和食ということで昔よく通っていた店にした。

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 今回の敗因は冬山を軽く考えていたことである。特に手袋は悔やまれる。