講習会

■講習会

 少し前に森林インストラクター協会から講習会の案内が届いていた。内容を見て申し込むことにした。インストラクターとしては、森に生えている樹だけでは話にならない。いわゆる川下のことも知っておかなければならないと考えていたためである。

 事前にテキストが届いており、スケジュールも入っていた。テストが2回あるようだ。まあ、この時点では簡単な確認小テストぐらいにか考えておらず、知らず知らず重要度は減って行った。

 場所は、高速バスを降りてから地下鉄で一本、それも終点ということなので利便性がいい。

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 頭の中では、どうやって1万歩あるくかを算段をしていた。そこで、エスカレータは使わず構内は全て階段を使った。会場のビルの7Fであるが、時間まで近くを歩いて歩数を稼いだ。

 7Fまで階段を上がると流石に息が切れる。そこで、屋上で呼吸を整えてから会場に臨む。

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 講習会が始まった。まずは、オリエンテーションがあった。ここで、テストの内容が話される。多くの設問があり時間一杯ということであった。記述式もあるという。自分は筆記用具はボールペンだけである。話は聞いていなかったが、話が違うと思った。

 そして、驚くべきことが起きた。午前中の先生が来ないことであった。代わりに、事務局の方が代行された。あらかじめ試験に出るところを教えてくれていた。真っ先に自分がやった試験準備はコンビニへ筆記用具を買いに行くことであった。試験と書いてあればそれなりに心構えをしただろになあ。

 午後からは建築基準法の話が中心で、壁量の求め方や負荷の計算などついて行けなかった。

 初日は、夕方から東京に住んでいる子供たちと夕飯でも食べようということにしていた。こんなときグループラインは便利である。自分の静かなところという希望で中華料理のコースを食べる。初めての旨さであった。

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 その後、ホテルへチェックインする。高速バスではほとんど眠れていなく。慣れない講義を受け、その上アルコールである。否が応でも眠気が勝る。しかし、歩数が足りていないので、チェックイン後、外へ出てただ歩く。

 ここは温泉があるので、夜と翌朝の二回入る。

 二日目は、樹種の見分け方の講義があった。なんと、製材で樹種を見分けるのである。15種類のサンプルと40倍のルーペが用意された。これで半日の講義である。そして、直ぐにテストであった。いや、試験である。解答用紙は一枚で、封筒が置かれている。試験時間は30分である。始めの合図で封筒を開ける。そこには、2cm立方のサイコロ状の木片に番号が振ってある。そして、3種の樹種を特定せよという問題である。自分が講義で感じたのは、もうサイエンスである。あれと似ているとか山勘といった経験則では太刀打ちできない。理論的な解析が求められる。

 まずは、道管の有無で針葉樹か広葉樹かを分ける。針葉樹の場合は、早材と晩材の様子から狙いを決める。広葉樹の場合は、道管の並び具合で狙いを絞る。最後は樹脂道や樹脂細胞を確認して、マツかヒノキかを確認するが、1つ分からなかったね。年輪が無いというか薄いのである。そこで、年輪が薄いというのは一年中光合成をやっていると思い、南の方に生育する樹種で外材のナンヨウスギと回答したが、この樹は広葉樹のカツラにも似ているので違ったかもしれない。

 午後からも講義があった。その先生曰く、試験に出るところを教えてあげているにもかかわらず、毎年零点の人がいる。それが不思議でならないという。

 そして、最後のテストである。5科目のテストである。そうして、先の先生の零点の意味を身をもって体験したのである。4科目の建築の問題は10問あるが、一問に3題の穴埋めがある。テキストを見て回答しても構わないということであったが、この科目だけで30問の穴埋めで選択語群はない。ということは、一問の問題を見てテキストにどこに書いてあるかを探して、空欄に当たるキーワードを記入することを30回行うことである。時間配分的に20分ということであった。問題を読んで、該当箇所を探し、キーワードを見つけて記入するまでを40秒以内にやらないといけない計算になる。この問題で時間が足りなくなって5問目まで手が回らず零点になるのである。例えばこんな問題である。軸組み工法で建築する場合、4隅の柱は(      )でなければならない。

 また、問題によっては、正しいものに〇をつける問題と、不適切なものに〇をつける問題があり混乱が激しい。試験会場にどっとテキストを捲る音が大きくなる。まあ、常識的にある程度押さえておかないと難しいであろう。終わった後は、疲労困憊であった。

 そして、夕方。45年前に一緒にドイツ交換学生でいったヒデさんと会食の予定である。自分より2歳上であるが、まだお仕事をされているというので、頭が下がる。場所は、ギョウザ屋さんにした。海外生活のことなど楽しく聞かせていただく。ヒデさんは、四国のお遍路を歩きで一回で通されたというので、まったく超人的な人であり、ここまでで2万歩になったとさりげなく話される。

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 この店のギョウザは、化け物のようで、一人前3つも食べれば腹いっぱいになる。これに、五目焼きそばやおつまみなど数点を頼む。飲み物はもちろんビールである。2時間ほどいたが、店を出るときは10人ほどの行列が出来ている。

 その後、コーヒーショップへ場所を移してから別れる。高速バスまでは2時間ほどあるので、1時間ほどグルグル回ってやっと規定数に達した。

 何かと充実した東京であった。