気落ち

■気落ち

 今日もおかげさまで予定はなかったので、散歩をこなし、蕎麦でも打とうと考えていた。しかし、予定が変わったのは今朝である。数日前から左目がかゆく、涙が止まらない。こんなもんほっとけばいつの間にか治るだろうと楽観視してしたが、県内出身のプロバスケット選手が似たような症状で活動停止という報道を見て、朝一で眼科へ行くことにした。

 まったく、老いとは今まで出来ていたことができなくなることだと何かに書いてあったが、これを実感した。家人が、おせちを作るというので、栗の瓶詰めを買ってきたが、この蓋が開かない。右の手の平は真っ赤になった。パイレン(パイプレンチ)でも必要だと思ったほどである。中学生のころに握力が60あり数少ない自慢であったが、もはや見る影もない。父親が生きていた時に、蓋の上をトントンと叩いていたのを思い出し、スプーンで叩き、慢心の力を込めて捻じったら開いた。4回目の挑戦であった。

 さらに、老いとは物を無くすということである。また、ポイントカードを紛失してしまった。先日新しく登録したばかりである。もう、ここまでなるとポイントカードの生活様式にはついて行っていないのは明らかである。いっそ、やめ様かとも考えている。

 眼科へ行く前は幾分気落ちしていた。この眼科は、予約制ではなくなったので、入った時の待合室の人数から見て2時間はかかると見ていた。受付で、別の症状で来ましたと言うと、体温を画面に向かって計って欲しいと言われ、36.1℃と出た。今回はいつもよりも高い。そうして、目の痒さや涙を話すと、なんのためらいもなく別室へ案内されるではないか。これには、動揺した。コロナ感染でもしているのだろうか。遠慮がちに看護師さんに聞いたら、感染の確率がゼロではないのでこうしましたと言う。

 一人、個室で待っていると、5分もしない内に医者が来ていろいろ検査し、写真も撮影する。そうして、また個室で待っていると、薬を持って来られ、ここで会計をして欲しいという。終わると、案内されて玄関に送り出される。ここまで、30分は掛かっていない。感染していたとすれば一秒でも早く出て行って欲しかったのだろう。

 薬は2種類であり、その目的を確認すると、充血防止と殺菌とあった。これを注すと嘘のようにかゆみが止まった。2日間注してもう一度見せて欲しいという。

 早く終わったので、昼までの間コーヒーショップで植物図鑑を読む。

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 しかし、精神が不安定になって、コーヒーを全部飲むことなく出てしまった。

 病院での対応に大いに気落ちして、昼食はカップ麺ですませ、昼からは自宅でなご成っていた。

■「工学部ヒラノ教授の徘徊老人日記」(今野 浩著、青土社、2020年)を読む。(その1)

「学生時代のラグビーの仲間は、多かれ少なかれ過激な運動の後遺症に悩まされている。」

「~週七万歩のノルマ達成を目指して頑張ってきた。」

「風邪ひくな、転ぶな、不義理しろ」

「~腰痛持ちに腹筋は禁物である。」

「白髪は死の花にして、その咲くや、心は冷めて血は凍らんとす。」

「そうこうするうちに髪は日に日に薄くなり、一年後には地毛とかつらの間に微妙な齟齬が生じた。」

「老人がしわくちゃ顔になるのも~顔の骨が縮むせいなのだ。」

「年金暮らしの老人は、いかにして生活費を切り詰めるか腐心している。」

緑内障は手術では治らない。」

「プロというものは、同じことをやり続けても飽きないということだ。」

「老人は歯がなくなると、認知症になるケースが多い~」

「妻に先立たれた老人の六割は三年以内に死ぬ」

「文学者は他人が秘匿したいと思っていることを世間に暴露する。」

「~歩行速度が遅い老人は、認知症予備軍だという。」

「百歳まで歩く」

「~お金持ちは長生きで貧乏人は早死に~」

「一日一回大笑い、一日10人とのおしゃべり、一日100回の深呼吸」

「大学教授は接客業の一種である。」

「NNS(望ましい二人称の死)」

「死ぬなら今です」