警察沙汰

■「良寛 行き生き行に死す」(立松和平著、春秋社、2010年)を読む。
 著者は、一昨年亡くなられた。この本は、最後の本である。絶筆である。
 良寛さんと言えば、子供と手毬をついている姿が思い浮かぶ。自分が知っている句は『うらを見せ おもてを見せて 散るもみぢ』であり、これが辞世の句だと思っていた。
 良寛道元の生き方に共鳴し『正法眼蔵』に書かれてあるように生きていたようだ。「着るものや食べるものについて、あれこれ思い煩ってはいけない。〜」中でも法話に一種だろうが、天の仏様が今にも倒れそうな老人の姿になって地上に降りて来て、猿、狐、兎に助けを乞う話がある。猿は木の実を見つけて差し出し、狐は川から魚を採って差し出したが兎は何もしてあげることが出来なかった。兎は、猿に小枝を沢山集める様に指示し、狐にはそこに火を付ける様に指示し、自ら火の中に飛び込んで、自分の肉を差し出した。これが、『月の兎』という話で自己犠牲による布施こそが大乗仏教の最終的な理想と説いた。
 良寛の辞世の歌は『形見とて 何残すらむ 春は花 夏ほととぎす 秋はもみぢ葉』であり、『良寛に 辞世あるかと 人問はば 南無阿弥陀仏と 言ふと答へよ』である。
 『何もかも自然というのが、良寛という生き方だ。生老病死はすべての生きとし生きるものにとっては自然である。〜〜〜死ぬ時には死ねばよいのである。』
 良寛ではないが、迦葉という人の十二頭陀という修行が書かれてあった。
 ・人の招きを受けず、日々乞食をし、修行僧の一食分も金銭では受け取らない。
 ・山上に止宿して、村や町には泊まらない。
 ・人に衣服を乞わず、人の与える衣服を受けない。ただ墓地にいき、死人が着ていて捨てられた衣を繕って着る。
 ・野田の中の樹下に止宿する。
 ・一日一食。
 ・昼夜とも横になって眠らず、座って眠り、経行をする。
 ・大中小の三枚の衣、三領衣しか持たない。
 ・寺に住まず、在家の人と住まず、死人や骸骨を見て、座禅し、求道する。
 ・一人で住み、人と会いたいと思わず、人と共に眠ることを望まない。
 ・ただ露宿をして、樹の下や家には泊まらないこと。
 ・肉を食べず、醍醐を食べず、麻油を身に塗らないこと。

■警察沙汰
 今日、仕事中に警察から職場に電話が入った。心当たりがなかったので、電話すると、母親が歩けないくらい腰が痛く病院へ連れていけと、頼まれたので対応してほしいとのこと。携帯電話を放棄しているので止むをえないかと思うが、歩けないほど腰が悪い人間がどうして警察まで行けるのか!
 徒歩通勤なので職場の人に送ってもらい様子を見ると歩いているではないか。タクシーを呼んで中央病院へ行くも通常の受け付けはとうに終わっており、救急の場所に連れて行かれる。診察、血液検査、レントゲンと3時間ほど待たされる。薬をもらって帰るも大雨であり、またタクシーで帰宅する。これから、何回か起こりそうな予感がしたので妹にも協力要請を行った。