からっぽな人生

■「ナインデイズ」(河原れん著、幻冬舎、2012年)を読む。
 ニュースや新聞で知っていたつもりでいたが、この本で臨場感が伝わってきた。恐らく、実在の人物をモデルにしているのだろう。東日本大震災岩手県の話である。福島ばかり
強調されているが、その他も大変であったようだ。
「水温五度以下の水に浸かり低体温症になった場合、30分以内に意識不明、90分以内で死に至る。」
「あまりにもひどいストレスは臭気となり」
主人公は若い医者であるが、ここまでかと思う場面が沢山でてきた。やはり、書物で把握する方が良く伝わる。

■からっぽな人生
週間ダイヤモンドからの抜粋である。
「特になんにもない人生、失敗した人生、挫折ばかりの人生。
それって、けっこうよくある人生である。私のように若いころ挫折して、その後、場当たり的に生きる日本人や、55歳になって空しい思いに駆られる人間も、これから増えるのではないか。自分の人生は、たいした人生ではなかったけど、それなりに苦難や不運もあった。それでどうしたか。
「考える」ことでなんとか切り抜けた。人生が行き詰まったら、そのときおりに、自分なりに考えてきた。
人生の問題の大半に解答はない。考えることくらいしかできないものだ。
つらくて憂鬱になったり、心身ともに疲れ切ったり、絶望してしまうこともある。それにどう向き合うか。どう考えるか。55歳まで生きてみたら、そろそろ人生の終わり方も考えるきっかけになった。
この年齢まで生きられなかった人も多い。自分の人生を振り返ったら、自分の死の形のようなものも、自分なりに納得するようになった。考えて生きるというのは、自分だけの死というものを形作っていくことになる。
60代以降に向けて、これからは死もまた人生の一部として受け入れていくしかない。うまくできるだろうか。」