大阿闍梨

■「逃げ切り」(新津きよみ著、角川春樹事務所、2013年)を読む。
 特別な才能を持った集団が、指名手配を追う。数ヶ国語が堪能な者、元外科医などで構成されている。時効が切れた元殺人者が『逃げ切り』というまんが本を出版するところが山場か。犯罪者の犯行後の足取りが鮮やかに描かれている。農業集団に隠れているとは考えてものである。少なくとも食、住には困らない。あまり知らない世界なので面白かった。

大阿闍梨
朝日新聞からの引用である。
比叡山延暦寺に伝わる荒行「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」を2度にわたって満行した天台宗大阿闍梨(だいあじゃり)の酒井雄哉(ゆうさい、さいは右上から下へのはらいがなし)さんが23日、87歳で亡くなった。厳しい修行を2度も満行したにもかかわらず、酒井さんは常に謙虚に自然体を強調し、仏への感謝の思いを口にしていた。
 修行を始めて700日目に入ると、「堂入り」という9日間の参籠(さんろう)をする。その間は断食、断水、不眠の難行とされる。「4日目くらいから死斑が出てきて、魚のくさったようなにおいがしてきてな」と過酷さを語る一方、「青く茂って、時期が来たら葉が落ちる。また来年になったら青く茂ってくる。それを見て、ああ生命っていうのは一回でおしまいじゃないんだなあ、つながっているんだなって気づいていく。こういうのが仏様からいただく『仏智(ぶっち)』なんだな」と語った。
 酒井さんは学業で落ちこぼれ、戦後に東京で経営したラーメン店が全焼。新婚間もない妻が自殺するなど様々な悩みを抱え、仏門をたたいた。そのためか、知識よりも実践の大切さを強調した。
 「勉強して知識ばかり増やすのでなくて、自分がこのくらいまでなら分かるな、と思ったら、実践していけばいいのよ。実践すれば智恵(ちえ)が出てくる。智恵が出たら、こうしてみようとか、もう少し勉強しようとか思うでしょう」
 こうした人生への深い洞察力を胸にひめながらも、わかりやすく市民に語りかけるような著作で人気を博した。」
 この人の書かれた本は読んでいる。