老いること

■「谷善と呼ばれた人」(谷口善太郎を語る会編、新日本出版社、2014年)を読む。
 タイトルの『善』という名前だけで選んだ。
「貧乏人の今にゃ学問はいらんがこと」
「貪るように本を読んで、知識を吸収しようとしていました」
「一度もおきられず、骨と皮とになって死んでいった。満十八歳であった。」

■老いること
日経ビジネスからの抜粋である。
 「年齢を重ねることで、人は精神も心も澄んでくる」
 「老いること」は、さまざまな濁りが消えることで、それは素晴らしいことであると、そんな言葉を読んだ記憶があって、折節、ふと思い出すことがある。私自身、前期高齢者になって、古くからの知人や友人も、ひと昔前なら、「老境」と言ってもいい年齢になっているはずが、私も知人も元気なうちは、「老境」といった意識はない。まして、すべてが澄んで透明ということにはなっていない。90歳まで生きる長寿が珍しくなくなっている現在では、昔と違い、物理的な年齢による老い方、その暮らしぶりは、ずいぶんと違ってきている。