定年退職後テレビ漬け

■「初夏の色」(橋本 治著、新潮社、2013年)を読む。
 短編で構成されており、読みやすかった。モチーフは東日本大震災である。
「泣いていいことなんかないだろう」
「淳一郎の趣味は、登山だった。〜つまらないことがあると、一人で山へ出掛ける。」
「閑職の人」

■定年退職後テレビ漬け
日経ビジネスより抜粋である。
 「私の父は昨年をもって長年勤めてきた会社を退職して、今年から所謂「第二の人生」をスタートさせました。昨年の冬に、母からそのことを聞かされた時には、「お父さんもそんな年かぁ」…なんて思ったりはしましたが、さして気にとめることもなく。
 しかし、あれから1年近くが経ち、私は今、父のことがある意味“気になって”仕方がありません。
 最初は軽い違和感がある程度でした。4月のとある平日の昼過ぎ。布団から起き出しリビングへ向かうと(大学3年にもなると学校へ行くことも減ってきて、平日なのに昼過ぎに起床なんてことは日常茶飯事なのです)、今までなら誰もいないはずの昼間のリビングには、ソファに座って大人気刑事ドラマ「相棒」の再放送を観る父の姿が。
 最初は「そっか、お父さん定年退職したんだ〜。もう会社に行かないんだ」と、その光景を新鮮な気持ちで受け取っていました。
 しかし、それが1か月、2か月と経って相棒が赤い霊柩車シリーズになって、浅見光彦シリーズになって、といったような変化こそあれ、気が付けばいつもサスペンスドラマの再放送を見て毎日を過ごす父。 というか、一向にそれ以外の光景が見られない。
 現役時代には、朝早く家を出て夜遅くに帰ってくるのが当たり前で、父が家にいるのを見るのは、仕事から戻って眠るまでのほんのひと時のみでした。父が会社を休む姿を見た記憶はなく、「仕事に生きる」父の姿を見てきた私にとって今の父の姿は、はっきり言って別の人のようです。
 「夫源病」とは、夫の言葉や行動に対する不平や不満がストレスとして溜まり、妻の身体に頭痛やめまい、不眠や動悸などの更年期のような症状が現れてしまう病気のこと、だそうです。」