挨拶

■挨拶

◎幼子に挨拶される通勤路  禅智  
 毎日歩いていると同じ人に会う。向こうも歩いているのだから同じことを思っているのだろう。いつからだったか忘れてしまったが、小学生、たぶん1,2年生の男の子が、すれ違いざまに「おはようございます」と挨拶してくれるようになった。こちらも「おはようございます」と返す。ほんの数秒のことだが何か気持ちがいい。
 登山では誰でも挨拶はするは軽い話はするはで慣れっこになっている。都市部では知らない人には声をかけない、というのが今の時代の常識になっていたと思っていたが、考えを変えなければならないなあ。


■「月日の残像」(山田太一著、新潮社、2013年)を読む。
 考える人という雑誌に連載されたエッセイである。映画方面に偏っているが仕方がないだろう。
「死んだあと、その人間のことを書いたりしゃべったりする奴は、ろくなもんじゃねえ」(木下恵介
「何かを背負うと人間は強くなるものだなあ」
「自分の日常の事実には書き残すに値するようなものはなにもない。そして自分の内面ごときはすでに書かれた膨大な書物の中に、自分が書くよりずっと深く繊細に巧みに描かれている。そうだとすれば、私がすべきは駄文を弄することではなく、読んだ本から感心した文章を抜き書きすることであり、それを続けてればおのずから自分の内面を語ることにも、内面を作って行くことにもなる。」
「うまいもんがあると聞くと、探してでも食いに行くなんて、なんか、品がないよなあ」(渥美 清)