川辺の花

■川辺の花

◎花を見てゴミかと思う貧しさよ  禅智  
 通勤途中に赤江川が流れている。今の時期は雑草が背丈ほどにもなっている。毎日、鴨達を見るのが日課になった。今日も川辺に目をやると、遠くにピンクの何かが見える。場違いがはなはだしい。ゴミではないかと思いながら通り過ぎようとしたが、やはり気になり遠回りにはなったが近くまで行った。
 朝顔のような花が4輪咲いている。さらに、目を凝らすとハグロトンボと言う名前だったか忘れてしまったが、トンボが数匹あっちこっち。
 何かの本で読んだが、機会は平等でいつも周りにうごめいている。しかし、それが見えない、分からないため、逃してしまうらしい。これは、心が貧しくなっているからではないだろうか。

■「『今昔物語』いまむかし」(野口武彦著、文藝春秋、2014年)を読む。
 面白かった。古典の面白みと言うのがよく分かる。読めない漢字が多い中で、途中で挫折するかとも思ったが、最後まで読み切った。昔のおおらかな内容に思いを馳せた。いつの時代もあまり変わりばえしないのだと思う。
 特に、芥川龍之介が代表作である「羅生門」「芋粥」「鼻」その他について、今昔物語を題材にしていることが分かり驚いた。著者は、芥川の訳した内容と原文を比較することでその検証を試みている。羅生門には梯子が無かったというのが面白かった。
 こうなったら、この本は立派な研究書物である。