巨漢

■巨漢
◎向こうから巨漢が来りて満足す    禅智
 今朝はいつもより早く家を出る。お寺の境内で子供たちがラジオ体操をやっていた。天気は曇りだが、太陽も出たり引っ込んだりしている。風が強い、しかも追い風だ。
 毎日歩いているので、おのずと出会う人も決まっている。まだ、挨拶をするところまでは行っていない。これからもないであろう。向こうから体重が100kgをゆうに超えていそうな人が歩いてくる。Tシャツの胸のところがツキノワグマのように汗で円弧を描いている。あのような体型にはなりたくないなあ、と思っている内に5mほどの距離まで接近した。巨漢の主は、少し顔を上げたので、目と目が合うかと思っていたら、途中で顔が止まり、なんだか満足そうな表情のまますれ違った。主の視線の先には何があったか、と考えると、何と!自分の腹があったのであった。
 こっちもTシャツなので体型がはっきりと分かる。そして、満足そうに見えたのは、あちらも、自分の腹を見てあんな体型にはなりたくないなあと思っていたに違いない。

■「老いの美徳」(松永伍一著、大和書房、2007年)を読む。
「待つ姿勢が、人のゆとりある品格をつくっていく」
「どうも気持ちが落ち着かない〜何か通じるというのは〜」
「みんなにお世話をかけてありがとう」
「高齢者の扱いが商売になる世の中」
「遺書は何回も改訂していくところに意味がある」
「品格は、ゆったりと歩いている人の中に、その人の背中に、感じられるものである」