実技本試験

■実技本試験
 いよいよ今日の日を迎えてしまった。路面が凍結しており、スタンドの前で滑ってしまった。
 今日は三本立てである。
 最初は木の勉強ということで木の模型を製作する。
 材料と道具である。

 被覆銅線を利用して木の模型を作り、粘土の台で固定する。

 大きさを変えながら10本ほど作るという。
 ついで、ロープワークである。次期入学予定者が見学に来ており、ロープワークを指導するというものである。自分も半年前に同様に習った。人に教えることは疲れるね。
 そして、本試験である。悔いを残さずできるだけやるというスタンスでいたのだが、昨日から咳き込んで薬を飲んでいる。これまでの練習の結果からまったく受かる気はしなかったが、どんな場合でも最善を尽くすことに意義がある。
 対策として、登山用のアンダーウエア、汗取り鉢巻、アミノバイタル4000で臨んだ。2時間以上も中腰で重い材料を扱っていると痙攣する。本試験で尻もちをついたら失格になる。
 試験官が5名おり知らない人ばかりである。仰々しくスタートが発せられる。
 ガラス戸の外には雪がこんもりと積もっている、汗取り鉢巻をしても汗がポタポタ落ちる。息が上がる。その時であった。審査委員長がやって来て、『お、お前、大丈夫か!』と詰め寄る。大丈夫に見えなかったから来たのだろうに、大丈夫のはずはないではないか。しかし、『大丈夫です。』と発する。この時点で、私の肉体はかなり参っており、精神状態もまともではなかったと思う。
 やはり、制限時間以内で終えることができなかった。まあ、しょうがない。
 終了後、ふくらはぎと足指に痙攣が起きた。もう少し早ければ失格になったと思うと、アミノ酸のおかげだと思う。
 下校後にすぐに眠って今しがたおきたところである。自分は夢を見ていたようだ。
何者かは知らないが自分を茶席に招いた。指示された茶庭の飛石を伝って歩くと踏み分け石の左に自分の作った関守石が置いてある。そこで右に向かう。近く四つ目垣が見える。天端は斜め切りで全体に歪んでいる。立子の頭には段差ができている。庭は『落葉』が敷き詰めてある。敷石が傾いており、悪ふざけで足を乗せたら『滑った』。
 目の前に名前の忘れた『落葉樹』に蜘蛛が糸を引いていた。黄色い糸であり、弛んでいる。手で触るとずれてしまう。
お茶の作法など知らないが覚えていることとしてお茶受けは『落雁』であった。 
 招いていただいた方が、茶室に掛けてある絵の繊細な構図を説明するが、自分には何も見えていない。
 時間が遅くなったため、帰りは小雨になった。走って帰ったので息は絶え絶えで汗びっしょりであった。汗がしたたり『落ちて』くる。帰宅後、『落花生』をポリポリしながら眠るというぐうたら生活が続いている。駄目だアウトだと言われ続けたことで、ここまで『堕ちた』人間になってしまったのだろうか。
 今回の試験で自分は頑張った。必死で頑張った。くじけそうになる気持ちに負けずに頑張った。でも、もういいじゃない!