日射し

■日射し
 吾輩はぜんちである。今日も予定はない。そこで、確定申告の書類を提出するために県民会館まで歩く。日曜日は車の往来が少なくありがたい。会場は地下にあるので階段を降りて驚いた。会場に入るために人垣が何重にもなっている。こっちはポストに投函するだけだが、簡易通路のような帯があるためたどり着けそうもない。整理をしている職員と思われる方に事情を話し人をかき分けながら先導してもらった。
 そして封書を投函しようとすると、ちゃんとパソコンで作ったのか、と念押しされた。明らかに個人が勝手に作成した書類の信頼性を疑っていることが分かった。少しムッとする。昔SEをしていた時、いろいろな会社の給与計算システムを構築しており、所得税法は得意な領域であった。まあ、悪げで話したわけではないことは分かったので、大勢待っている前で、この会場で申請書類を作成すると大勢の方に迷惑がかかるので自宅のパソコンで計算し、インクがもったいないので画面を用紙に写して来ました、と応じた。相手の顔は明らかに動揺していた。
 今回に限らず感じることであるが、マイナンバーの記載は省略できないだろうか、扶養者全員のマイナンバーを記載しなければならない。大変煩わしい。このナンバー、公にはしていないが、目的は国民の財産把握を通じ脱税摘発をするためだけだろうことは、国民総背番号制が何年も前に議論されていたころから見え見えである。その証拠に公的機関で身分証明が必要な時にマイナンバーを提出すると、運転免許証か健康保険証の提出を求められる。そうなのだから、自分のように老後破綻予備軍には省略させて欲しい。
 ここまで、日射しの当たる方を3kmほど歩いた。
 帰路、図書館に寄り、ついでにコーヒーショップに入る。目の前にダンボール迷路があるが、ニュースになったからだろうか、長蛇の列が出来ている。休日なので若い学生さんが多かった。中には、これ見よがしに、東京大学の赤本を出して勉強されている方もいた。
 自宅まで歩く。これで5kmほどになる。昼食を自宅で済まし、自家用車で古洞の森に向かう。珍しい野鳥が来ているという情報が入ったためだ。なんと、りんごの里からさんとコガモさんに出会う。今日はお目当ての鳥には出会えなかったようだ。
 カラ群の中に混じっていると教えていただいたが、なかなか至難の業である。エナガ、ジジュウカラ、ヤマガラと出会う。
 何か消化不良のようになっており、帰路呉羽山に向かう。大きな駐車場の止めて階段を上がって行くと、教えていただいた通り目の前にトラツグミがいる。

 少し歩くと遠かったがモズが木に留まっている。

 どんどん登って行くと、イカルがいる。ここでは珍しい。啼ていないのも珍しかった。

 五百羅漢まで行く前に最後のシメに出会う。

 探鳥コースを途中まで歩くが積雪が多く、長靴の足あとしか付いていない。シロハラかと思って撮ったらヒヨドリであった。啼き声では、コゲラが確認できた。
 夕方は笑点が始まる前に戻って来たが、だいぶ歩いた疲れが出たのか始まる前に眠ってしまった。今日はいい日射しがあり久しぶりに歩けて良かった。

■「幸田家のことば」(青木奈緒著、小学館、2017年)を読む。
「一寸延びれば尋(ひろ)延びる・・・一時の困難をなんとかしのいで突破をはかれば、先は楽になる」
「ひと尋は本来、両手をいっぱいに広げたときの手先から手先の長さを意味している。」
「文という字はなべぶたにねこのひげ
「いかに小さくとも、新たに得た知識が既知の何かと結びつくとき、そこには思いがけない驚きがあり〜」
「雪〜舞う、落ちるという。霰(あられ)や雹(ひょう)は打つ、露は結ぶ、氷は張る、霧はおりる、置くという。」
「〜人の住まない家は数年のうちに水まわりから壊れ〜」
「〜欲と道連れに前を向いて歩くのが人生だ〜」
「日がな一日読書三昧と言えば贅沢な気もするが、全集はいわばその人の精神世界、海のようなものである。」
「誰にでも嫌なことはある。嫌なことを一生しなくてすめば、存在しないに等しいのだから、もはや嫌なことではない。」
「不学凡才の身を以って運命を論じたり、運命を測知しようとするが如きは、蜉蝣(かげろう)という蟲が大きな樹を動かそうとするに類したもの〜」
「あとは野となれ山となれ、私の行く先ゃ花となれ」