注文しない

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■注文しない
 あるファーストフード店のこと。
 自分が行った時には、ほとんど見掛けるので、おそらく毎日来ていると思う。
 年齢は、自分より上に見える。いつも一所懸命作業をしている。しかし、テーブルの上には、店の商品は、ない。
 初めて見た時は、食べ終わって捨てて来たと思っていたが、ある時、自分とほぼ同じ時刻に入店したので、目で行動を追うと、注文カウンターの前から二階へ登り、作業し始めたではないか。
 自分は、きちんと150円のコーヒーを頼んでいる。
 おそらく店のスタッフも気づいているだろう。
 同じ話の中学生版にも遭遇した。この場合は、スタッフが何か頼めとさとし、おのおの買っていた。
 こんな身近に起るので、全国ではすごい数になろう。
 これで思い出したことがある。この店は、昔コーヒーのお代わりが無料であった。しかし、直ぐにやめてしまった。その理由が、宿泊場所代わりに使われるからとのこと。
 自分も熟睡しているので、そのうち追い出されるかも知れない。

■「息」(小池水音著、新潮社、2023年)を読む。(その1)

「血液にのって巡っている酸素を、わたしは大切にしなければならない。。」

「息をひとつ吸い、またひとつ吐くたびに、自分の命は静かにすり減っていっている。」

「立ち歩いたことで乱れた呼吸を、時間をかけてゆっくりと静めてゆく。」

「~日常的に猫が出入りする家に入ったならば、きっとほんの数分で呼吸困難になってしまうはずだった。」

「肺に空気が届くようになってもまだ、直前までの酸欠の余韻が抜けなかった。」

「トンネルは出口に向かうとは限らない。」

「酸素が減ると、ものを考える余裕が失われるのと同時に、感情もまた乏しくなった。」

「ミニターに表示される血中酸素濃度の数値は、少しずつ、しかし確実に下がっていった。」

「息ができて、仕事に取り組めさえすれば、それでいいじゃないか。」

「頓服薬は、いっとき楽にはしてくれるけれど、あなたを救ってくれるわけじゃないんですね。」

「~息を長くすることを意識してください」

「そのときにはもう、自分の呼吸が重くなっていることに、わたしは気がついていた。」

「息を吸える限界も、吐くことのできる限界も、ふだんの半分より少なくなっている。」

「雨上がりの芝生のようなみずみずしさが、口内から胸の奥にかけて広がっているのを、わたしはたしかめる。」

「それにしても、扉は信じられないほど重かった。」

「昼には毎日、うどんを食べる。」