スルー

■スルー
 祝日で絶好の行楽日和であったが、家人が出勤日であり、いつもの休日になる。朝からパンを買って来いという希望があり、少し早目に家を出てパン屋さんでパンとコーヒーを二人で食べる。久しぶりののどかな朝食であった。
 図書館へ行くも気に入った本がなく、5階の文庫コーナーに行き5冊ほど借りてくる。そのとき、私の姓を逆さまに呼ぶ司書の方がいるではないか。たぶん自分のことだろうと名乗ったが違うとのこと。逆さまにしてもそうある名前ではない。本を選んでいると正しく呼ばれた。トイレに貴重品が入ったまま上着を忘れていたものの確認であった。どうも最近は物忘れが激しい。これも自然なんだろう。
 昼は子供たちの希望を聞くのだが、今回は無視した。もう子供ではないのだから腹が空けば何か言ってくるだろう。そこで、最近ラーメンを食べていないことに気が付き、お気に入りのラーメン屋さんへ向かう。

 ゆっくり昼寝を決め込み体調は万全である。
 子供がバイトに行くというので送るが、小腹が空いたというのでハンバーガー屋さんに寄る。ドライブスルーで注文し、2〜3分ほどかかるといわれたが、その位で問題になることなどない。快く承諾して車を待ちスペースに入れる。バイトの時刻が迫っている。子供から遅くないかと言われレシートを見る。15分ほど経過している。これでは食べている時間がないので、そのまま発進した。スルーである。そうか、こういう商売があるのだ。頭がいい。お金を前払いさせておいて品物を忘れた振りをすれば丸儲けである。普通なら文句を言う客が多いだろうが、形式通りのお詫びで済む。自分のようなサイレントクレーマーに対してはなすすべが無いはずだ。しかし、上手い商売だ。
 ファーストフードの対応には驚きが多い。今回も無駄なお金を払ったが仕方がない。
 これでこのハンバーガー屋さんとは縁を切る。最近値上げしたようだし、これまでもおいしいと思って食べていたわけではない。朝刊のクーポン券を捨ててしまえば家族も機会を失うのでいいだろう。
 前回セットモーニングで300円も高い請求をした店も縁を切ったし、注文はしたが持って来なかったギョウザを確認してから請求した小杉のラーメン屋も縁を切った。